茜の刻



海の貌5





          春宵一刻


          寄せては返す波に想えば


          やがて汀は茜に染まりて













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緑なす流れゆるやか



新緑9



                       ゆるゆると 流れる水を 緑染む
                                            葦


                        さわさわと流れゆく水の
                        絶え間ない緑の波の繰り返し

                       水は次から次へと流れ来て
                       決してその場所にとどまることがないのに

                       波の背に映る緑は形を変えながらも
                       同じ場所にあり続ける不思議

                       それは光と水が作り出した幻想空間

                       あるようでいて実体はなく
                       実体はなくともあることに間違いはなく

                       私という存在もまたそれと似通っている

                       地球46億年の時の流れの中に
                       奇跡のように生まれ
                       一瞬の後に消え去る存在

                       その一瞬の中に
                       何かを刻み込むことができるだろうか

                     

                     

                     

                     

                     

                  
                    

種山ヶ原 断章

           種山ヶ原といふのは北上山地のまん中の高原で、青黒いつるつるの蛇紋岩や、
           
           硬い橄欖岩(かんらんがん)からできてゐます。

            高原のへりから、四方に出たいくつかの谷の底には、ほんの五 六軒づつ
   
           の部落があります。

            春になると、北上の河谷のあちこちから、沢山の馬が連れて来られて、
 
           此の部落の人たちに預けられます。そして、上の野原に放されます。それも

           八月の末には、みんなめいめいの持ち主に戻ってしまふのです。なぜなら、

           九月には、もう原の草が枯れはじめ水霜が下りるのです。

            放牧される四月(よつき)の間も、半分ぐらゐまでは原は霧や雲に鎖(とざ)

           されます。実にこの高原の続きこそは、東の海の側からと、西の方からとの

           風や湿気のお定まりのぶっつかり場所でしたから、雲や雨や雷や霧は、いつでも

           もうすぐ起こって来るのでした。 (以下 略)

                                       宮沢 賢治「種山ヶ原」より抜粋


            
           賢治がこよなく愛し、「風の又三郎」を始め、数々の作品の舞台となった種山ヶ原。
           ここを訪ねたのは朝までの雨が上がり、次第に天候が回復してゆく、そんな頃合いだった。
           林道を外れ賢治碑のある原までの路を歩く。
           冒頭に紹介した「種山ヶ原」の描写のとおりだ。 薄く濃く霧がただよう。

           たどる路に秋色は深く、静寂が辺りを包む。賢治もこの路を歩いただろうか。
           賢治が今回の震災の有様を見たらどのような想い、どのような言葉を語ったろうか。

           想いの深まるあまり、言葉はついに表れ得なかったのではないか。
           言葉に表すことができないがゆえに、亡き人への想い、残された者の悲痛な
           叫びへの共感はいっそう強く賢治の心を捉えたに違いない。



種山ヶ原 4



種山ヶ原 1



種山ヶ原 2



種山ヶ原 3


           
           ドボルザークの交響曲第九番「新世界より」の第二楽章は、「遠き山に日は落ちて」
          の歌詞が付けられ、よくキャンプファイアーで歌われますが、賢治もこのメロディに
          自分の詩を付けているのです。写真1枚目の遊歩道の案内板の詩はその2番の歌詞です。
          下に野趣溢れる合唱の動画を付けましたので、興味のある方はお聴きください。
          なお、この動画は Youtubeよりnamazubon さんの動画をお借りしました。











プロフィール

一本の葦(略称 葦)         愛知県在住・男性

Author:一本の葦(略称 葦)         愛知県在住・男性
                                       ご来訪ありがとうございます。
自然美に魅せられ風景写真を
撮ってきましたが、写真集の
作成を機に写真撮影はいったん
休止することにしました。

今後は写真集の作品をこの場を
借りて随時ご紹介させていただ
く所存です。
写真集掲載順に写真・記事を
更新していきますので、実際の
季節とはズレが生じます。
ご了承ください。
また、画像が少し見づらくなって
いますが、どうかご容赦ください。


なお、当ブログの画像・文章の
著作権はすべて私「一本の葦」
に帰属します。あなたの心の中
に刻んでいただく以外の複製・
転載などはどうかご遠慮ください。

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